論理の国語

中学受験のことや、国語に関する様々なことを書いていこうと思います。中学受験を目指すご家庭や指導関係者の参考にになれば幸いです。

記述力養成②

前回は表記のお話でしたが、今回から内容の具体的なお話をいくつかのパターンを挙げて行いたいと思います。


今回は「相違点」の記述問題です。
これは「対比」型の説明系文章によく見られる問題です。


記述と言っても読解ができていないとお話にならないので、「何(ア)」と「何(イ)」が「どんな点」について違うのかを読解するところから始まります。アとイの対比をしっかり理解したうえで解答します。


聞かれたとおりに答えるのですが、答え方の基本は以下のようになります。


「アは~だが、イは~だ(という違い)」
「アは~である。しかし(一方)イは~だ(という違い)」


そして、大切な方をイにしてください


例えば、次のような内容の文章があったとしましょう。


「日本は山国である。豊富な山の木を使って昔から建物をつくってきた。これは今も変わらないのだが、建築材料としての木材の質は昔の方がはるかに良かったらしい。
        
 現代では、交通手段が発達したおかげで山で木をきるとトラックですぐ工場に運んで加工する。そうして加工された木は建築材料としては良いとは言えないのだ。


 でも、昔は木をきると1年ほど放置し、その後川を使ってゆっくり運ぶことで、乾燥した良い建築材料となったのだ。」


(問)傍線部の理由を説明せよ


「今の木材」と「昔の木材」が「運搬方法」が違うため「結果としての質」が異なることを答えればいいわけですね。字数指定にもよりますが、4つポイントがあるかと思います。
また、昔の木材の質が良い理由を答えるので、昔の木材を後に書きます。


(答)今は木をきるとすぐにトラックで運び加工するため、建築材料として良いものではないが、昔は木をきっても1年ほど放置してから川を使ってゆっくり運んでいたので、乾燥した良い建築材料になったから。


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記述力養成①

記述は内容と表記に分かれます。
内容とは、文章を読解し設問に応じて答えた内容のことです。
表記とは、解答する時の文の書き方のことですね。


中学受験を考えた場合、長い字数を要求される記述の内容の勉強は小学6年生からでも良いように思いますが、文法や語句などを学ぶ際に文を書いて記述の表記の勉強をするのは3、4年生ぐらいから始めるのが望ましいように思います。


6年生に記述指導をする際に感じることを書きます。はじめは、男子に比べて女子の方が表記面で優れていることが多いです。一般的に女子の方が文を書く機会が多い(友達と手紙の交換など?)からでしょうか。しかし、数多くの問題演習や添削を通して受験前には男子も素晴らしい表記で記述できるようになります。


表記を磨くには、たくさん数をこなすことが大切ですが、効果的に学習してもらうために6年生の場合は初めの指導でおかしな文を示して、どこがおかしいのかを考えてもらうことをします。間違いやすい表記パターンをを覚えてもらうのです。


例えば
主語 述語がねじれている 例)ぼくの好きな季節は夏が好きだ
                          ➡夏だ。

言葉の重複        例)馬から落馬した。
                ➡(不要)

文末の不統一       例)~です。~ます。~だ。~です。
                        ➡です。

同じ接続を続ける     例)~ので、~ので~。 でも、~。でも~。
                     ➡ため       ➡しかし


他にもありますが、6年生からの記述の勉強はこのように表記から入ると効率的だと思います。後は演習の数をこなし、間違い直しをしっかりやる(できれば第三者に添削してもらう)ことで、徐々に上達していきます。


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設問研究④

今回は設問の種類や設問の形式からは少しはなれた話になると思うのですが、読解問題について考えたいと思います。


読解問題とは一般的に言うと文章の内容を聞いている問題だと思うのですが、私が考える読解問題は文章の大切なところを聞いている問題のことです。


例えば、説明文では話題や説明の仕方、結論を尋ねる問題や、物語文で大切なできごとや、心情、あるいは主題を尋ねる問題が読解問題だと言えます。「読解力養成」で書いた読み方が分かっているかを尋ねる問題が読解問題だとも言えます。


だから、文章を読む上で大切でないところをを尋ねる問題は、それが知識系ならまだわかりますが、内容を聞く読解系の問題なら、しょうもない問題だと言えます。


文章題はしっかりした読解問題が多いのか、あるいはしょうもない問題が多いのかで作問者の力量を推し量れますし、一般的に読解問題の多さとその学校のレベルは比例しているように思います。


また、読解問題の配点をその他の問題より大きくしている学校もあります。たとえ選択形式の問題であったとしても文章の大切なところを尋ねる読解問題には、記述形式なみの配点を課す場合があるのです。


文章の大切なところが分かっているのかを尋ねる問題を、作問者は大切だと考えている訳ですね。そのような問題を見るとさすがだと思ってしまいます。


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