論理の国語

中学受験のことや、国語に関する様々なことを書いていこうと思います。中学受験を目指すご家庭や指導関係者の参考にになれば幸いです。

記述力養成⑤

今回は「具体化」の記述問題です。
いろんなジャンルで出題されるだけでなく、ちょっとした記述から長い字数を要求される記述まで、様々なタイプの問題があります。


「具体化」は設問研究①で書いた「言い換え問題」の1つで、
抽象的な内容を具体的に言い換えること」で、もっとわかりやすく言えば
わかりにくい内容をわかりやすく言い換えること」です。


だから、「わかりにくい内容」に注目して、その内容がわかりやすく書かれているところや、その内容を類推できるところを探す。
それから、設問に応じてイコールになるように解答します。


例えば、次のような小学生が主人公の文章があったとしましょう。


「ぼくの学校にアメリカから転校生がやって来た。彼は、外交官の父親の仕事の関係でアメリカで生まれ育ったのだが、生粋の日本人である。しかし、違う‥‥何かがぼくたちとまるで違うのである。彼の感性というのか‥‥反応や身振りがぼくたちとは全然違うのである。一方で、アメリカでは日本人学校に通っていたらしく、難しい言葉もよく知っており、国語も得意で、授業中によく先生から本読みの指名を受けていた。
 ぼくは、内心彼のことを好ましく思い、あこがれる気持ちを抱いていた。そして、ある日の下校途中に幼馴染のOくんにぼくの思いを話したんだ。」


(問)傍線部「ぼくの思い」とはどんなことか?


ここでの「ぼくの思い」とは、「転校生への思いのこと」ですね。転校生への思いは傍線のすぐ上に「ぼくは、内心彼のことを好ましく思い、あこがれる気持ちを抱いていた。」とあります。後は、設問の聞き方に応じてイコールになるように答えましょう。


(答)アメリカからやって来た転校生のことを好ましく思い、あこがれる気持ちを抱いていること。


少し簡単な例になってしまいましたが、雰囲気はつかめたでしょうか?


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記述力養成④

今回は、前回の「行動・様子の理由」の発展形の「心情の変化」の記述問題です。
長い字数が要求される代表的な記述問題だと思います。


前の気持ちから後の気持ちへの変化を答えるのですが、変化するきっかけとなるできごとを見ぬくことが大切です。まとめると次のようになります。


心情の変化= 前心情の原因となるできごと ⇒前心情+きっかけとなるできごと➡
      (
後心情の原因となるできごと)⇒後心情



このように4つまたは5つのポイントを書かないといけないので100字程度の記述問題が簡単にできてしまいます。


例えば、次のような小学生が主人公の文章があったとしましょう。


「今日、ぼくは仲の良いAくん、Bくん,Cくんと4人で近くの山を登る約束をしていた。夏休みのさわやかな早朝だった。ぼくは、集合時間に早目に到着し、ワクワクしながら他の仲間を待っていた。すると、そこにAくん達に混じってガキ大将のDが現れた。DはBくんと仲が良いらしくBくんが連れてきたようだ。ぼくは、おどろいた。Dはこの辺では悪ガキで評判だからだ。それに、つい先日もぼくにけんかを売ってきたばかりなのだ。ぼくは、急に今日の山登りは大丈夫なんだろうか?何事もなければいいのだがと思うようになっていた。」


(問)主人公「ぼく」の心情の変化を説明せよ。


まず変化のきっかけのできごとから考えます。それは、「ガキ大将のDの登場」ですね。このできごとの前後の心情を簡単に類推します。前は「うれしい」、後は「不安」でしょう。
さらに、それぞれの心情の原因となるできごとがあるかを考えます。前のできごとは「仲の良い友達と山登りをすること」で、後のできごとは「Dの評判とけんかを売られたこと」ですね。


(答)ぼくは、仲の良い友達と山登りをすることを楽しみにしていたが、ガキ大将のDも参加することを知り、Dの悪ガキという評判やけんかを売られたことから、山登りをすることに不安をおぼえるようになっている。


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記述力養成③

今回は「行動・様子の理由」の記述問題です。
物語系の文章では最もポピュラーな記述問題だと思います。


なぜこのようなことをするのか?
または、なぜこのようなようす(ニッコリほほえむ、目に涙を浮かべる、顔が赤いなど)なのか?を答える問題ですね。


行動や様子の理由を尋ねられると、まず何を考えるでしょうか?
ふつうは気持ちですよね。問題で問われる注目されるべき行動や様子は、特定の気持ちをともなっています。


では、次に何を考えるのでしょうか?
それは、なぜそんな気持ちになったのかという原因になるできごとです。


行動・様子の理由ではこの2点を考えるのが基本です。


「行動・様子の理由」=「心情の原因となるできごと」「心情」+から


例えば、こんな問いがあったとします。
(問)かれは、なぜ水を飲んだのですか?


まず気持ちから考えます。➡「のどがかわいた」
次に心情の原因となるできごとを考えます。➡「サッカーをしていた」


(答)サッカーをしていたので、のどがかわいたから。


ここで注意しなければいけないのは心情から先に考えるということと、その心情はハッキリと書かなければいけないということです。
どういうことかというと、心情を話し言葉や擬態語や比ゆなどの遠まわしな表現で書いてはいけないということです。


例えば、「むかつく」「きもい」などの話し言葉や、「わくわくする」などの擬態語や、「真っ暗闇に1人でいるような気持ち」などの比ゆ表現はだめなので気をつけましょう。


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