論理の国語

中学受験のことや、国語に関する様々なことを書いていこうと思います。中学受験を目指すご家庭や指導関係者の参考にになれば幸いです。

設問研究③

今回は選択問題について考えたいと思います。記述問題やぬき出し問題に比べて選ぶだけだし、カンでも解答できるのでやり易く感じる問題ですね。しかし、苦手な人もいると思いますので順を追ってやり方を考えていきましょう。


やり方は大まかに分けて2通りあります。
1つは選択肢の中から正解を選ぶ方法です(私は「一発選択法」と言っています)。
もう1つは選択肢の中から違うものを消していき正解を残す方法です(消去法)。


消去法は、明らかに違う選択肢の場合は記号にバツをつけ、あやしい選択肢は選択文のおかしい部分に「|×(横に線を引いてバツをつける)」を書き込んだり、選択文の微妙な部分に「|?(横に線を引いてはてなマークをつける)」を書き込んだりして違う選択肢を明らかにして、削除して正解を残すやり方です。


そうすることでひっかけ問題の選択肢には引っかかりにくくなります。なぜなら、ひっかけ問題は、選択文のほとんど全ては正しいが一部分に強調表現(絶対、必ず、全て、常に‥‥など)を書いて正しいとは言えないように作られていることが多いからです。


また、選択文が3行以上の長い選択文になるとややこしくなるので、消去法は有効でしょう


では、選択問題は常に消去法を使うといいのでしょうか?


私は、そう思いません。
消去法は解答のテクニックの一種なので、あまりテクニックに偏ると国語で一番大切な読解力が成長しないからです。特に小学校5年生ぐらいまでは「一発選択法」で取り組んだ方が、長い目で見ると良いように思います。


読解力はあるのだが、選択問題が苦手だという人は小学校5年生でも消去法を使ってもいいと思います。ただし、その場合も「一発選択法」で解答しづらい場合に使うようにしてください。


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設問研究②

 前回の言い換え問題はあらゆるジャンルの文章に見られますが、今回は物語系文章によく見られる因果関係の問題について考えてみたいと思います。


因果関係とは原因と結果の関係ですね。因果関係の問題では、結果に対しての原因を考え答えさせます。ですから、厳密に言うと単なる理由説明の問題とは少し異なるように思います。


例えば、こんな小学生の作文があったとしましょう。


「ぼくは休日に家で一人で本を読んでいました。すると、妹がどこからか家に戻ってきたのですが、べそをかいて大粒の涙を流していました。わけを聞くとぼくの友人のSくんにいじめられたようです。Sくんは強い者にはご機嫌をとったり、思っていることをはっきり言わなかったりするんですが、弱い者には威張ったり、いじめたりするやつなんです。だから、翌日Sくんと会った時におもいっきり文句を言ってやりました。


(問)なぜ、ぼくはSくんに文句を言ったのか?


このように聞かれた場合、字数も関係ありますが、ふつうは2つ答えないといけないでしょう。それは何かと言うと心情その心情の原因となるできごとです。


この場合の心情は「文句を言う」という行動から「怒っている」だと分かります。また、心情の原因となるできごとは「妹がいじめられた」ですね。


ところで、心情は今現在も生じています。これは理由になります。一方、原因のできごとは過去のことですね。
何が言いたいのかというと、理由は結果と同時に存在することができますが、原因は結果の過去に存在するものだということです。理由と原因は時間の観点から考えると異なります


どちらが易しくてどちらが難しいでしょうか?
一概には言えませんが、時間的差がない心情が易しく、時間的差がある原因の方が難しい場合が多いのではないでしょうか。


因果関係をおさえて読解することがいかに大切なのかがお分かりになるでしょう


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設問研究①

前回までは読解力についてのお話でしたが、今回からは設問の種類についてお話したいと思います。設問の種類を意識することで、適切な解答を作りやすいと思います。


今回は「言い換え問題」です。
言い換え問題は3種類あります。


①抽象➡具体‥‥具体化(くわしくはっきり言い換える)
②具体➡抽象‥‥抽象化(おおざっぱにまとめて言い換える)
③抽象➡抽象‥‥同じ抽象レベルの言い換え


例えば、以下のような小学生の作文(随筆)があったとしましょう。


「ぼくは、昨日少し良いことをしました。塾の帰りに友達と電車に乗っていた時のことです。車内は混みあっていましたが、運よくぼくたちは座席に座り楽しくおしゃべりをしていました。途中の駅からつえをついたおじいさんが乗車してぼくたちのそばにやって来ました。ぼくは内心とても恥ずかしかったのですが、思い切っておじいさんに声をかけて席をゆずりました。ぼくにとっては、勇気をふりしぼった行動だったのです。すると、おじいさんはぼくにお礼を言って座ってくれました。ぼくは、恥ずかしさから逃げなかった行いに満足しました。」



(問)「少し良いこと」とはどんなことか?くわしく説明せよ。‥‥①具体化の問題
   (答)混みあった電車でおじいさんに席をゆずったこと


(問)「おじいさんに声をかけて席をゆずりました」とあるが、この内容を11字で表した部分を文中からぬき出せ。‥‥②抽象化の問題
   
(答)勇気をふりしぼった行動


(問)「勇気をふりしぼった行動」とあるが、同じ内容を文中から15字以内でぬき出せ。‥‥③同じ抽象レベルの言い換え問題
   (答)恥ずかしさから逃げなかった行い


上は簡単な例ですが、言い換え問題は記述、ぬき出し、選択形式を問わずよく出題されます。ただ、ぬき出し形式の場合は、イコールになるように正確に答えないといけないので注意が必要です。ちなみに、3種類の中では①具体化の問題が一番多く出題されるように思います。


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