設問研究②
前回の言い換え問題はあらゆるジャンルの文章に見られますが、今回は物語系文章によく見られる因果関係の問題について考えてみたいと思います。
因果関係とは原因と結果の関係ですね。因果関係の問題では、結果に対しての原因を考え答えさせます。ですから、厳密に言うと単なる理由説明の問題とは少し異なるように思います。
例えば、こんな小学生の作文があったとしましょう。
「ぼくは休日に家で一人で本を読んでいました。すると、妹がどこからか家に戻ってきたのですが、べそをかいて大粒の涙を流していました。わけを聞くとぼくの友人のSくんにいじめられたようです。Sくんは強い者にはご機嫌をとったり、思っていることをはっきり言わなかったりするんですが、弱い者には威張ったり、いじめたりするやつなんです。だから、翌日Sくんと会った時におもいっきり文句を言ってやりました。」
(問)なぜ、ぼくはSくんに文句を言ったのか?
このように聞かれた場合、字数も関係ありますが、ふつうは2つ答えないといけないでしょう。それは何かと言うと心情とその心情の原因となるできごとです。
この場合の心情は「文句を言う」という行動から「怒っている」だと分かります。また、心情の原因となるできごとは「妹がいじめられた」ですね。
ところで、心情は今現在も生じています。これは理由になります。一方、原因のできごとは過去のことですね。
何が言いたいのかというと、理由は結果と同時に存在することができますが、原因は結果の過去に存在するものだということです。理由と原因は時間の観点から考えると異なります。
どちらが易しくてどちらが難しいでしょうか?
一概には言えませんが、時間的差がない心情が易しく、時間的差がある原因の方が難しい場合が多いのではないでしょうか。
因果関係をおさえて読解することがいかに大切なのかがお分かりになるでしょう。
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