論理の国語

中学受験のことや、国語に関する様々なことを書いていこうと思います。中学受験を目指すご家庭や指導関係者の参考にになれば幸いです。

読解力養成(物語文)③

今回は心情把握の基本について書いていきたいと思います。


一般的に心情を把握するには、直接表現の心情語(うれしい、悲しい、もどかしい等)を探したり、心情をを表す行動(スキップする、うなだれる等)から考えたり、同じく心情を表す様子(顔を真っ赤にする、にっこり笑う等)から考えたり、あるいは、情景などの間接表現の意味を考えたりします。


しかし、心情把握の基本はやはり論理的思考だと考えます。物語文では、【「できごと→心情→行動」⇒「できごと~」】というふうに「できごと」と「心情」と「行動」が因果関係でつながり、さらに次のできごとへ因果関係でつながっていきます。この因果関係の連鎖に注目しましょう。


心情を把握するには前のできごとと、後の行動(様子)から考えるのです


例えば、Aさんは中学受験合格のために頑張って勉強し、入試を終えて合格発表を見に行く場面の話があったとします。


Aさんが校庭の合格掲示板を見て涙を流しながら飛び跳ねたとします。この時のAさんの気持ちを聞かれたらどう答えるでしょうか?泣いているので悲しいと考えますか?そうではなく、うれしいと考えますよね。


なぜなら、「中学受験のためにがんばり、その合格発表の掲示を見る」というできごとに対して「泣きながら飛び跳ねる」という行動(様子)ですから、自分の努力が報われて感動し、喜んでいるというのが読み取れます。


つまり、心情把握は、前のできごと後の行動の因果関係を基本に考え、心情語、心情を表す行動・様子、情景を参考にして総合的に考えます


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読解力養成(物語文)②

前回は場面ごとのできごとをつかむ話でした。今回は回想場面の話から始めたいと思います。回想場面とは、登場人物が記憶している過去の場面のことです。この回想場面が、物語の途中に挿入されることがよくあります。


さて、物語文は、基本的に読み始めると前から後に行くにしたがって、時間が流れていくようになっています。そして、場面ごとのできごとには多くの場合、因果関係が見られます。因果関係とは原因と結果の関係ですね。


つまり、前で起こったできごとが原因になり、後で起こるできごとが結果になるわけです。このつながりを理解して読むことが論理的な読解なのです


この因果関係を考えた場合、冒頭でご紹介した回想場面が非常に重要な役割を果たすのです。物語文には初めに結果のできごとからはじまり、後でその原因となるできごとを回想場面で挿入する技法があります


読者の立場に立つと、はじめのできごとの意味が分からないが、読んでいくと回想場面に出くわし、はじめになぜあんなことをしていたのか、その理由が分かるという仕組みです。


例えば、A君がとても緊張してトイレに何度も行く場面から始まるとします。その後、回想場面で、ある理由から年上の番長と決闘することになったいきさつがしめされ、その後、A君が決闘場所に向かう場面などになります。


上の例では、「現在→過去→現在」という時間の流れになっていますが、現実の場面と回想場面はしっかり読み分けないといけません


説明文の読解で印をつけることを書きましたが、物語文でも印をつけて読むことをお勧めします。場面が変わったら|(線‥‥文章の上のほうに少し引く程度)、回想場面は「」でくくるといいでしょう。また、登場人物がはじめて出てきた時に〇で囲んで読むようにすると、大勢登場人物がでてきてもややこしくなりにくいのでお勧めです。


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読解力養成(物語文)①

今回からは物語文の読み方についてお話していきたいと思います。物語文の読み方の基本は、場面ごとのできごとをつかみながら読むことです。


場面とは、ひとかたまりのの時間や場所のことです。ですから、朝の話が夜に変わったり、教室での話が校庭に変わったりすると場面が変わったと言います。つまり、時間や場所が変わると、場面が変わることになるのですね。また、登場人物が増えたり減ったりする場合にも場面が変わります。


ところで、物語文はいわばできごとだらけなんですが、できごとの中でも大切なできごとがありますね。大切なできごととは、話の中心になるできごとです


例えば、「桃太郎」のお話で説明しましょう。「桃太郎」の話をを知らない者に、「桃太郎」とはこんな話だよと説明する時に、どんなできごとを挙げるでしょうか?たった3つのできごとを挙げるだけで説明できますよ。では、どんなできごとなのか?


●桃太郎は桃から生まれた
●犬とキジとサルにきび団子を与えて仲間にした
●鬼が島に行って鬼を退治した

つまり、簡単に言うと「桃から生まれた桃太郎が、犬とキジとサルを仲間にして鬼を退治したお話」です。桃太郎の場合、この3つのできごとが大切なできごとです。大切なできごとのイメージがつかめたでしょうか?


もう一度言いますが、物語文は場面ごとの大切なできごとを考えながら読むのが読解の基本ですよ。


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