ドラマ「下剋上受験」感想
先日、TBSのドラマ「下剋上受験」全10話が終了しました。わたしも中学受験業界に長く携わっているので、このドラマの感想を書いてみたいと思います。
【あらすじ】
中卒の父母が、偏差値41の娘を進学塾に行かずに、最難関女子私立中学の桜蔭中学校合格を目指すお話です。一応、事実に基づいた原作のドラマ化らしいです。
ちなみにドラマでは進学塾卒業生の母親からテキストを譲り受けて勉強に使用していますが、デザインはなぜか馬渕教室のものです。おそらく、馬渕教室と提携して「下剋上算数」というテキストを販売しているので、そういった関係からではないかと思われます。
それでは、このドラマの良かったところと、残念なところを箇条書きで書きたいと思います。
【良かったところ】
●ドラマを見ることで、中学受験をあまり知らない人に中学受験とはどんなものなのかをある程度知らせることができる。
●中学受験は経済的な負担だけでなく、生半可な気持ちではない覚悟が必要だと描かれており家族で協力している。
●勉強しても伸び悩みの時期があり、父親や娘が苦悩する場面が描かれている。
【残念なところ】
●中学受験は塾や家庭教師などを抜きで勉強するのは特殊なケースであり、家庭学習のみで対応するのはやはり難しく、仮にドラマのように父親が仕事を辞めて勉強をみたとしても簡単ではなく、誤解をうむ可能性がある。
●ドラマとして面白くしないといけないので仕方がないのかもしれないが、勉強シーンが少なく、ドラマでは「鶴亀算」「旅人算」「入浴時の漢字」「過去問」ぐらいしか扱っておらず、これまた中学受験が意外と簡単そうだと誤解をうむ可能性がある。
●テストの偏差値が40➝60超と変動しすぎで、現実にはそうそうありえない。
●偏差値41の娘が偏差値70の学校を目指すというのが、このお話の売りの1つだが、そもそも偏差値41を取った時は中学受験の勉強をしていないので悪くて当たり前。ビリギャルや学習教材の宣伝等もおなじだが、偏差値が極端に上がる話は偏差値のトリックだ。勉強していない状態で偏差値を測ると悪いのは当たり前で、勉強をしている状態でやり方を変えて偏差値がどれだけ上がったかが大切だと思われる。また、その場合には41➝70はほぼありえない。
【結論】
ドラマとしては面白くできていると思いましたが、一般の中学受験をするご家庭の参考になるかというと、あまりならないのではないかと思いました。しかし、中学受験という少し特殊な世界を世間に認知してもらうという意味では良かったのではないかと思いました。
お手数ですがやる気スイッチお願いします★
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